投資マンションにカモられる20代のサラリーマン
サラリーマンに人気の投資マンションはどう変わる?(その4)
投資マンションにカモられる20代のサラリーマン
マンションの住戸を買えば家賃収入や売却益が得られるという触れ込みで、不動産投資の専門業者が投資マンションの勧誘をしていますが、近年では20代のサラリーマンがこの投資マンションにカモられています。
★都心ではワンルームが主流を占める
国民生活センターの相談事例によれば、「投資用マンションをしつこく勧誘され、不動産会社が怖くて契約をしてしまった」とか
「街頭アンケートに記入したら投資用マンションを勧誘され契約してしまった」、
あるいは「家賃保証があると勧誘され投資用マンションを購入したが、赤字になっている」
また、「業者に指示されて虚偽申告をしローン等を組んだが支払えない」といった内容です。
読者の皆さんに心当たりがある方もいらっしゃるかもしれませんね。
こうした相談事例は、社会人に成りたての世代や社会人の経験が浅い世代を狙ったものです。
こんな事例があります。
とある大手企業に勤務するDさんは、社会人になって5年ほど、ようやく会社にもなれてきた時期です。
そんな彼は、自分らが住む会社の寮の近くで、ある女性に声を掛けられます。
女性は20代前半で、最初はどういうことかと思ったそうですが、「お金に関するアンケートです」と称して、いくつかの質問に回答するもので、最終的には住所や連絡先、メールアドレスなど、個人情報を書いてアンケートに答えたそうです。
その数日後に、この女性から携帯に電話がかかってきて、お金の運用などに興味があれば一度、会って詳しいお話がしたいとのことでした。
その時は何の疑いもなく、単に「お金の運用方法などの話を聞くだけなら」ということで、その女性と会うことになりました。
アポイントの当日、指定された場所に出向きましたが、電話をかけてきた女性は急遽、別の仕事が入ってしまい、自分の上司がお話をさせていただくことになりましたとの連絡がありました。
まぁ、そういうこともアリと思い、実際にはその上司と会う結果になりました。
ここからは、お金の運用といっても投資マンションのセールスを受けることになります。
相手はその道のプロですから、投資マンションのメリットしか話をしません。
すっかりDさんはその気になってしまい、まずは1戸目を後日、街の喫茶店で契約しました。
不動産業者はクーリングオフができないように、Dさんが指示した場所でということで契約をしていました。
この時、Dさんに知識があれば、クーリングオフの対象にできたかもしれません。
で、とりあえず、1戸ぐらい持っていてもそれほど損はしないだろうし、将来、年金代わりにもなるからと、自分に納得をさせていました。
しかしながら、この不動産会社は間髪入れずに2戸目のセールスを行います。
「いい物件が出ました、Dさん、これは絶対に買いですよ!」といわれ、1戸目の決済当日に2戸目の契約をしてしまうのです。
こうして、Dさんはまんまとカモられてしまったのです。
その後もDさんをターゲットにしていたセールスマンは、「今度、私が不動産投資会社を設立しましたが、いい出物の物件を自社で買いましたのでぜひ」ということで、3戸目も契約してしまったのです。
Dさんは結局、投資マンション用のローンを約7,000万円組んでいます。
私のところに相談に来た時点は年間の持ち出し金は約70万円で、投資案件としてはなかなか厳しいものでした。
最終的には、保有物件をすべて売却したいということで、その売却の進め方や売り元の不動産業者とは縁を切りたいということでした。
いかがでしょうか。
最初の取っ掛かりは女性で、ソフトなイメージでコンタクトを取りに来ます。
次に、出会った女性から連絡がいくのですが、実は投資マンションのセールスマンと会うことに・・・
実に手口が巧妙です。
Dさんが仮に、金融などの投資を勉強してそれなりの知識があれば、カモられてなかったかもしれません。
特に、不動産投資はいくつもの基本的な知識を必要とします。
不動産投資はそもそもは不動産賃貸業ですから、賃貸借契約を基本とする法律の熟知や家賃回収などの入居者との面倒なやり取り、加えて、貸室に関する建築の知識やローンなどの金融の話も知る必要があります。
こうした専門性の高いものを扱っているので、とうてい20代のサラリーマンでは、プロの不動産業者にはかなわないわけです。
このように、情報の非対称性が悪夢を生み、結果的にはババを引くのは購入者となるわけです。
Dさんをターゲットにしていたセールスマン、3戸目を契約してからしばらくの後、連絡はつかなくなりました。
設立した会社も本人もドロンしてしまったようです。
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